地域の宝を守り、つないでいく
標高250m。月山の麓にある小さな里山、
山形県鶴岡市 宝谷(ほうや)地区。
キャンプ場から眼下に広がるのは、
蕎麦畑とつるおかの街。
月山からの清らかな水が流れ込むこの地で
『宝谷かぶ』や宝谷そば『でわ宝』といった
宝谷の“宝”を守りつないでいます。
『でわ宝』のおはなし
鶴岡市 宝谷地区。
『でわ宝』は月山の麓にある、
その小さな里で育まれました。
標高が高く、坂を登った先に広がる景色は、
まさに天空の大地。
静寂の美しさを纏います。
宝谷より上に集落はなく、
月山からの清らかな水が流れ込みます。
蕎麦の種を蒔くのは、夏の真っ盛り。
昼は太陽のエネルギーを存分に蓄えて、
涼しい夜にゆっくり休む。
この山間地特有の昼夜の寒暖差は、
香り高く、甘みの強い蕎麦を育みます。
交雑しやすい蕎麦を、
高純度のものに仕上げることができるのは、
地域一体となって蕎麦栽培に取り組み、
他の地域とは隔離された地の利を活用しているから。
昔との違いに葛藤しながらも、
確かにあるのは
「この地で生きて守っていく」という覚悟と宝谷愛。
どっしりと大地に根を張るような穀物の芳醇な香りと
まっすぐで力強い味は、
この地で生きる人々の強さと重なります。
小さな三角の実に詰めこんだ大きな想い。
『でわ宝』は、
山形を代表する “愛される蕎麦” を目指しています。
『宝谷かぶ』のおはなし
映画「よみがえりのレシピ」の冒頭にでてくる「宝谷かぶ」
焼畑で栽培され、江戸時代には存在していたと記される
宝谷地区で栽培されてきた在来作物です。
すりおろすと爽やかな辛みが出て、薬味にもぴったり。
宝谷そばとの相性も抜群です。
また、天ぷらなど熱を加えると甘みに加えほろ苦さが。
デンプン質が多く、とろっとした食感になります。
かつては、宝谷地区にあるほとんどの家庭で栽培され、
冬の間の食糧として重宝していました。
時代が流れるにつれ大量生産化、後継者不足などで衰退
今では、昔ながらの焼畑農法での栽培はごくわずか。
種の絶滅の危機もありました。
「どうしても宝谷かぶの種を次の世代に伝えたい」
との思いは、地域内外から。
「宝谷蕪主会」を結成するなど、
種をつなぐ活動が続いています。
ご挨拶
「ふるさとむら宝谷」のある宝谷地区は、高台に位置する中山間地域で転作田に蕎麦を栽培し約25年が経過しました。
蕎麦を核とし地域活性化に地区民が一体となり取り組んでいる小集落です。
ここには、四季折々の自然の恵み、美味しい空気や綺麗な水、高台から見下ろす庄内平野の眺望、そして此処にしかない美味しいそばがあります。
豊かな自然を満喫しに、是非お越しください。素晴らしい宝がたくさんある宝谷で、お待ちしています。
ふるさとむら宝谷 組合長 本間 与一